不眠症とは、定義と分類


眠れない、というのはとてもつらいものです。
寝て、起きるという生き物にとってごく当たり前のことに思われるこのリズムが手に入らない。
眠れないという悩みを持つ人は、日本では5人に1人もいるといわれています。

日本睡眠学会で定義されている不眠症とは、


・夜間なかなか入眠できず寝つくのに普段より2時間以上かかる入眠障害
・いったん寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上醒める中間覚醒
・朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られない熟眠障害
・朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう早朝覚醒
などの訴えのどれかがある

②①のような不眠の訴えが週2回以上、かつ少なくとも1ヶ月間は持続する

③不眠のため自らが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられる

上記の①②③のすべてを満たすこととされています。


3つの症状のなかでも③の自分自身が苦痛に感じていたり社会生活に支障をきたすということが単なる眠れない、というのと「不眠症」の大きな分かれ道として重視されています。

確かに睡眠の状態がよくなかった翌日は、気分はすぐれず、体も思うように動きません。
睡眠中に体と脳の消耗の回復がなされると同時に、記憶の整理や精神活動に必要な物質の補充、体の調子を整えるホルモンの分泌がなされるなど、睡眠の状態は、心身両面に大きな影響を与えるのです。
睡眠の状態に対して不快を感じるということは、単に長さだけの問題ではなく、体と脳が求めている睡眠の状態が提供されなかったことを意味します。
体と脳が睡眠中にやりたかった仕事ができないまま残されていることを示しているのです。

このような状態が長く続くと体調はどんどん悪くなり、うつ病になる人もいます。

不眠症によって起きる症状は、頭重感、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、不安症、うつ病などの精神神経症状のほか、不整脈、高血圧、低血圧などの循環器疾患、食欲低下、胃潰瘍、排便障害などの消化器疾患、精神病、甲状腺機能異常などの代謝内分泌疾患、月経機能異常、月経痛、精子異常症などの生殖機能障害、種々の皮膚疾患、筋肉炎、関節炎、腰痛、神経痛などの整形外科疾患など、ありとあらゆる身体機能異常を悪化させます。
これらは不眠症だけで発症する病気や症状とはいえないかもしれませんが、これらの病気を発症しやすくしたり、症状を強くしたりすることは間違いありません。

言い換えると、よく眠れるかどうかということは、単に自分の気分の問題だけでなく、実際に心身の状態を大きく左右し、病気があってもそれを治してしまうか、反対に病気を次々と育てて生命の危機にいたらしめるかという違いをつくるくらい、重要なことなのです。


不眠症の原因による分類

①一次性不眠症

不眠を呈する睡眠障害で最も多いのは、精神的緊張や不安によって引き起こされる不眠です。
これは慢性の精神的緊張や不安と条件反射という2つの要因によって起こると考えられています。
条件反射とは、「明日は朝が早いから早く寝ないといけない」というように、寝ようと考えれば考えるほど眠れなくなることがあるように、眠れるかどうかを心配することが不眠の要因になります。
このような精神性不眠の人の中には、実際以上に不眠に対してこだわりが強く、不眠を強く意識して悩み訴える場合が多くあります。
生活指導や睡眠薬を用いた治療が行われます。

②薬原性不眠

身体疾患治療のための薬剤の中には副作用として、不眠をもたらすものがあります。
抗結核薬のイソニアジド、降圧薬のレセルピンやメチルドパ、抗パーキンソン病薬のレボドパ、プロプラノノールなどのベータ遮断薬、インターフェロンなどがよく知られています。

③身体疾患による不眠

かゆみや痛みがあると睡眠が妨害されます。
慢性の痛みでは頚椎症や腰痛が不眠の原因として多くなっています。
かゆみでは、眠ると抹消血管が拡張する際にかゆみがひどくなるため、入眠障害が出現しやすくなっています。
前立腺肥大や膀胱炎などによる尿路系の刺激が不眠、特に中途覚醒をもたらします。
治療は原因となる疾患の治療を行います。

④精神疾患による不眠

不眠などの睡眠障害は精神疾患があると必ずといっていいほど併発します。
特にうつ病では、初期に不眠のみを訴える場合が多いため注意が必要です。
この場合、早朝覚醒、熟睡感欠如、起きるのが困難になる、などが比較的特徴的です。
うつ病の診断と適切な精神科治療がなされないと睡眠薬のみの投与では改善しません。
うつ病が疑われた場合には、速やかに専門医による診断、治療が必要です。

⑤脳器質性疾患による不眠

アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患、脳血管障害、脳腫瘍や東部外傷で急性にあるいは慢性に不眠が起こることがあります。
これらのなかには、脳障害が直接に睡眠機構を障害して不眠が起こる場合と、神経疾患による身体症状のために不眠が生じている場合があります。


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