人体に対する放射線の影響とは


「放射能」とは放射線を出す能力のことで、今は放射能を持つ物質である「放射性物質」の意味で使われています。
その放射能から出るのが「放射線」です。
また、被曝(ひばく)とは、人体が放射線にさらされることを言います。

福島第一原発事故では、大量の放射性物質が大気中や海洋に放出されました。
また、1945年8月、広島と長崎に原子爆弾が投下され、その熱線と爆風及び放射線は、数か月以内に多くの人々を死亡に至らしめました。
それらが人体にどのような影響を与えるのかについて解説します。


放射線の人体に対する影響は、人体を構成する細胞の原子に放射線の運動エネルギーが吸収されることにより、原子から電子が引き離される「電離」や、電子が相対的に高いエネルギー状態に移動する「励起」が起こることによってもたらされます。

人体内に入った放射線による初期の物理的課程により、細胞内のタンパク質や核酸などの重要な高分子化合物に電離や励起を引き起こして破壊し、細胞に損傷を与えることを放射線の直接作用といいます。

一方、初期の物理的過程により原子間や分子間の科学結合が切れて放射線分解が起こると、「遊離基」が生成されます。
遊離基とは1個または複数個の不対電子をもった原子や分子のことで、フリーラジカルと呼ばれます。
一般に遊離基ははなはだ不安定で非常に反応に富んでいるため、他の遊離基または原子や分子とすぐに反応します。
遊離基が生物学的に重要な高分子化合物である細胞内のタンパク質や核酸などと反応して変化を引き起こし、結果として細胞に損傷を与えることを放射線の間接作用といいます。

放射線の直接作用と間接作用によって生じた損傷の大部分は、細胞の修復酵素などの働きによって修復されます。
ですが、すべての損傷が完全に修復されるわけではありません。
また、細胞の損傷が十分に修復しきれなかった場合、損傷を受けた細胞が自らを死滅させる生体防御機構が存在することも明らかにされています。
ただ、損傷を受けたすべての細胞がこれらの生体防御機構によって完全に排除されるわけでもありません。
その結果、非常に小さな割合ですが細胞の損傷が残ることになります。


また、しくみは完全に解明されていませんが、放射線によって引き起こされた人体内の細胞の損傷が細胞分裂をとおして維持・拡大され、やがて放射線障害として被爆した本人やその子孫に発現するとされています。
放射線量としては、1シーベルト以上の高い線量を受けると、臨床的に問題といわれています。
全身被ばく100ミリシーベルト以下では人体への影響は確認されていません。
シーベルトとは、人が放射線を浴びたときに、人体に与える影響をはかる単位として使われています。

身体的影響は、被曝してから影響が現れるまでの期間により、急性影響と晩発影響に分けられ、急性影響は潜伏期が比較的短かく、晩発影響は数ケ月~数年の長い潜伏期を経て症状が現れます。
原発事故によって近距離で大量に放射線を浴びた人は、しばらくの間は普通でしたが、新しい細胞を作る能力が失われ、数十日の治療期間を経ても良くならず、最終的には死亡しました。

もし大量に放射線を受ける恐れが発生したときは、少しでも放射線を受ける量を減少させることを考えないといけません。
放射線を受ける量を減少させるには、「発生源からなるべく距離を離れるようにする」、少ない量であっても長時間受けると影響が大きくなるため、「放射線を受ける時間を減らす」、放射線は物質を突き抜けますが、鉄板やコンクリートでとめられるため、「遮蔽物による回避をする」ことを考えます。

また、年齢によっても影響は違い、子供は大人の2~3倍影響を受けやすいといわれているため、より注意が必要です。


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